イジワル騎士団長の傲慢な求愛
「……確認しにきたんだ。ルーファス、お前の意思を」
低く押し殺すようなルシウスの声が、部屋の中に響いた。
「俺とセシル様の縁談、お前は本当にこれで満足なのか?」
思いもよらぬ話題になって、セシルは耳を塞いだ。聞いてはいけない内容である気がするが、それでも音声は無情にも耳に入ってきてしまう。
「今さらなにを言っている。この件はここへ来る前にさんざん話し合っただろう」
「だが、日中、お前のセシル様を見つめる眼差しは――」
「やめろ。これ以上、話す気はない」
ルーファスはルシウスを無理やり追い返そうとしているようだった。
足音がバタバタとせわしなくなり、声がわずかに遠ざかる。
「だがこの縁談、本来ならお前が申し込むべきものだったのだろう」
ルシウスの声にセシルはハッと息をのむ。
「お前がセシル様に求婚しようとしたのだろう。それを母上が無理矢理――」
「やめろ、ルシウス」
「本当はセシル様を愛して――」
「ルシウス!」
ルーファスの一括が、セシルの鼓膜をもびりびりと震わせた。
手足がひりひりとかじかんでいく。それなのに頭は火がついたように熱い。
これ以上、この会話を聞いてはならない――もう手遅れかもしれないが。
低く押し殺すようなルシウスの声が、部屋の中に響いた。
「俺とセシル様の縁談、お前は本当にこれで満足なのか?」
思いもよらぬ話題になって、セシルは耳を塞いだ。聞いてはいけない内容である気がするが、それでも音声は無情にも耳に入ってきてしまう。
「今さらなにを言っている。この件はここへ来る前にさんざん話し合っただろう」
「だが、日中、お前のセシル様を見つめる眼差しは――」
「やめろ。これ以上、話す気はない」
ルーファスはルシウスを無理やり追い返そうとしているようだった。
足音がバタバタとせわしなくなり、声がわずかに遠ざかる。
「だがこの縁談、本来ならお前が申し込むべきものだったのだろう」
ルシウスの声にセシルはハッと息をのむ。
「お前がセシル様に求婚しようとしたのだろう。それを母上が無理矢理――」
「やめろ、ルシウス」
「本当はセシル様を愛して――」
「ルシウス!」
ルーファスの一括が、セシルの鼓膜をもびりびりと震わせた。
手足がひりひりとかじかんでいく。それなのに頭は火がついたように熱い。
これ以上、この会話を聞いてはならない――もう手遅れかもしれないが。