イジワル騎士団長の傲慢な求愛
「は、話を! ちゃんと説明を――」

怒りに満ちたルーファスへ弁解するかのように、セシルは涙目で訴える。
けれど――

「……そんなに聞きたいなら――」

突然ルーファスが方向転換した。

「体で答えてやる。ベッドへこい」

乱暴に手を引かれてベッドへと連れていかれる。
シーツの上に突き飛ばされて、顔の横に手を着かれ逃げ場を塞がれて、セシルはその剣幕に震え上がった。
先ほどと同じく情熱的な瞳、けれど、恐ろしく焦燥していて、愛情なんて感じられなかった。

「……いや――」

「黙れ。知りたいんだろう。俺がいったいなにを考えているか」

ルーファスが、セシルの服に手をかける。

「やだっ! やめて……」

か細い涙声で必死に抵抗するセシルを見て、ルーファスは体を退いた。

「……覚悟がないなら、さっさと出ていけ」

「……ルーファス――」

「早くしろ! これ以上俺を苦しめるな!」

命令されるがままに、セシルはその場から逃げ出した。
うしろ髪を引かれ、何度も彼を振り返りながら――けれど、その場に留まることを許してはもらえなかった。
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