イジワル騎士団長の傲慢な求愛
翌朝。なにごともなかったかのように、朝食のテーブルでみなと顔を合わせた。
セシルは必死のポーカーフェイスで応じるが、ルーファスの顔だけは直視できなかった。
視界に入る度に鼓動が早まり、昨晩のことを思い出しては苦しくなる。
シャンテルは変わらず、持ち前の明るさと笑顔で場を和ませてくれていたが、わずかに婚約話を意識しているようで、ルーファスへの態度は熱っぽい。
そんなシャンテルに、ルーファスは丁寧な態度で応じている。
セシルにはけっして見せたことのない気遣わし気な笑顔を浮かべて。
それだけシャンテルのことを大切に想ってくれているということなのだろう。
その意外な優しさを目の当たりにする度に、なぜかセシルの胸は締めつけられる。
セドリック伯爵だけは、食卓につかなかった。
昨日の無理がたたって、今日はベッドから出れないほどに疲弊してしまっているらしい。
朝食が済んだ頃合いを見て、セドリック伯爵は自室にルーファスを呼び寄せた。
午後には自領の屋敷へ戻る予定のルーファスたち。
次に会えるのは当分先――いや、伯爵に関して言えば、次があるのかさえわからない。
二度と会えなくなる前に話しておきたい――縁起でもない話だが、きっと伯爵の中にはそんな強い意思があるのではないだろうか。
おそらく、シャンテルとのことだろうと、セシルは思った。
セシルは必死のポーカーフェイスで応じるが、ルーファスの顔だけは直視できなかった。
視界に入る度に鼓動が早まり、昨晩のことを思い出しては苦しくなる。
シャンテルは変わらず、持ち前の明るさと笑顔で場を和ませてくれていたが、わずかに婚約話を意識しているようで、ルーファスへの態度は熱っぽい。
そんなシャンテルに、ルーファスは丁寧な態度で応じている。
セシルにはけっして見せたことのない気遣わし気な笑顔を浮かべて。
それだけシャンテルのことを大切に想ってくれているということなのだろう。
その意外な優しさを目の当たりにする度に、なぜかセシルの胸は締めつけられる。
セドリック伯爵だけは、食卓につかなかった。
昨日の無理がたたって、今日はベッドから出れないほどに疲弊してしまっているらしい。
朝食が済んだ頃合いを見て、セドリック伯爵は自室にルーファスを呼び寄せた。
午後には自領の屋敷へ戻る予定のルーファスたち。
次に会えるのは当分先――いや、伯爵に関して言えば、次があるのかさえわからない。
二度と会えなくなる前に話しておきたい――縁起でもない話だが、きっと伯爵の中にはそんな強い意思があるのではないだろうか。
おそらく、シャンテルとのことだろうと、セシルは思った。