過保護なドクターととろ甘同居


「では、お支度できましたら先ほどの診察室にお戻りくださいね〜」


検査が終了し、看護師さんからそんな声が掛けられた時には、変な汗に身体中がしっとりとしていた。

いそいそと診察台から降り、素早く下着を身に付ける。


私の緊張をよそに、先生は至って普通に淡々と検査をしていた。

一方、私はというと、腹をくくってただひたすら早く終わるのを待っていた。

カーテンの向こうからカチャカチャと金属が触れ合う音がし、「器具を入れますね」と言われると、ひやりと冷たい感触に腰が浮いてしまった。

緊張のせいか体が強張り、何度か「力を抜いてください」とも言われた。

子宮の大きさや位置、硬さなどを診るため、指で内診をしながらお腹の上を手で押されたり、エコー検査というモニターでチェックするもののため、超音波の器具を挿入されたりもした。


無事に診察台を降りたものの、身の置き場がない感じは拭いきれない。

診察中は目隠しカーテンのおかげで直接先生の顔を見なくて済んだけど、このあと対面して話をしなくてはならないのは何とも酷だ。

そんなことをうだうだ考えてしまうのは、私の方だけだろうけど……。

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