過保護なドクターととろ甘同居
「何それ。そんな嘘つくわけないじゃん!」
「どうだか。友達が結婚するだとか、最近よく羨ましそうに言ってたし、強行突破的な?」
“結婚”の二文字を出され、チクリと胸が痛んだ。
今年で二十七歳。
周りの友達は続々と結婚していて、去年は三度もおめでたい席に招待してもらった。
結婚願望がないと言ったら嘘になる。
だけど、私だって相手と周囲に望まれた結婚をしたい。
うっかり子どもができたから一緒になって、それで上手くいかず離婚するような結婚なんて絶対にしたくない。
俊くんとそうなれば、間違いなくそのコース一直線だ。
「そんなことするわけないって言ってるじゃん! だいたい、酔っ払って避妊もしないで襲いかかってきたのはそっちでしょ?!」
「はぁ? 俺のせいだって言うのかよ?!」
「そうだよ、だからこんなことに――」
ガチャンと、私たちが掛ける椅子の斜め前にある扉が勢いよく開く。
「院内ではお静かに願えますか」
私たちに向けて掛けられた低く落ち着いた声に、ハッと言いかけの文句を呑み込んだ。