過保護なドクターととろ甘同居
出てきたのは、膝丈まである白衣を羽織った上背のある男性医師。
俊くんから目を向けて見上げて、「あっ」とつい声が漏れていた。
緩やかに流れる漆黒の髪。
切れ長な目と鼻筋の通った美しい作りの顔立ちは、つい視線を奪われるほど整っている。
滅多に見ない綺麗な顔の男性だと、強く印象に残っていた。
いつもは裸眼だけど、今はハーフリムレスの眼鏡をかけている。
でも、見間違えることはない。
その人は、私のバイト先にたまにやってくるお客様。
お店には白衣を着ないスーツ姿で訪れるから、まさか医師をしている人だなんて思いもしなかった。
いつもテイクアウトで、ホットのカフェモカをオーダーしてくる。
ノンシュガーのコーヒーとかを好みそうなイメージなのに、意外にも甘いものが好きなんだと余計印象深かった。
「三枝さん、どうぞ、診察室へ」
「あっ、は、はい」
中へと案内すると、白衣を翻して診療室へと消えていく。
「ほら、行くぞ」
横の俊くんが不機嫌に椅子を立ち上がった。