過保護なドクターととろ甘同居
先生に向かって「わかりました」と返事をしながら、いそいそと受付けへと入る。
あの、“癒しの抱き枕事件”から、先生とは特に変わったことは何もない。
妙に意識してしまっている私とは違い、先生は普段と変わらない態度で接してくる。
仕事中はいつもクールで厳しく、まごついていると睨まれることさえある。
あの一件は、特別に何か感情を持ってのものではなく、ふざけたというか、ちょっと冗談半分というか、本当に抱き枕みたいに物体的な感覚でしたハグなんだという結論に至った。
そうは頭で処理したのに、抱擁力のある腕の中とか、目に映った白衣の白さだとか、あの時の記憶がいつまでも離れていってくれない。
何でもない瞬間に先生と目が合うだけで、どきりと心臓が過剰に反応してしまう。
早く自己処理して、正常な自分に戻らなくてはと思う。