過保護なドクターととろ甘同居



「ご主人とも連絡取れたそうよ。もうこちらに向かってるって」


鈴木さんの入院手続きが済み、受付け業務を再開していた私の元へ、木之本さんがその後の報告にやってきてくれた。

あのあと、鈴木さんは娘さんと共に木之本さんの案内で陣痛室へと移動した。

そこからは助産師の宮城さんに任せ、外来診療へと戻ってきてくれたようだ。

陣痛室に入るということは、もういつお産が始まってもおかしくない。


「そうですか、よかった……」

「立ち会い希望みたいだから、ご主人、間に合うといいわね」

「そうですね」


ここで働き始めてから、出産される妊婦さんはもう何人も見てきた。

大きかったお腹がへこみ、その腕にはまだ目もしっかり開いていない小さな赤ん坊を抱いて、どの人も優しいお母さんの顔になって病院を去っていく。

妊娠も出産もまだ未経験だけど、あんな柔らかい表情を目の当たりにすると、母になるということはきっと言葉にできないくらいの幸福なのだと思わされる。

いつか私にも、そんな幸せを味わえる日が来るだろうか……?

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