過保護なドクターととろ甘同居


言い争いを始めた私たちを、画面から顔を向けた先生は冷ややかな目をして眺めていた。

切れ長の目には、呆れた心情を漂わせている。

言い争いなら外に出てからやってくれ、とでも言いたそうな表情だ。

みっともない痴話喧嘩を披露してしまったと、慌てて口を噤んだ。


「生理不順と問診に書かれていますが、周期はよく乱れますか?」

「あ、はい……でも、今回は一ヶ月以上きていないので、もしかしたらと……」

「そうですか……じゃあ、子宮の様子を見させてもらいますね」


手元ではキーボード入力を行いながら、先生は淡々とした口調で問診票に沿った質問をしていく。


「では、診察台の方に。木之本さん、ご案内して。お連れの方はこちらでお待ちください」


え、ちょっと待って。
診察台って、まさか……。


さっき椅子を用意してくれた看護師さんが呼ばれ、私の元にやってくる。

「こちらへどうぞ」と案内されて行った奥の部屋には、試着室のように区切られカーテンで一つずつが隠された三つの入り口があった。

嫌な予感的中。

やっぱり、内診台で診察をするらしい。

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