過保護なドクターととろ甘同居
自ら話題に出しておいて、また気分が沈んでくる。
親しげに病院の入り口を入ってきた二人の姿。
幸せと希望に満ちた笑顔を見せて母子手帳を出してきた俊くんの相手の顔。
まるで全くの他人のような顔をしていた俊くんの様子。
思い出したくなんてないのに、鮮明に蘇っては私を追い詰める。
泣きたくなんてないのに、涙で視界が揺れてくる。
手にしている冷えたグラスの中身を、気持ちを静めようとじっと見つめていた。
「ショックだったか」
隣から聞こえてきた、静寂に溶け込んでしまいそうな先生の声。
核心を突いた質問は、わずかに保っていた平常心を保てなくしていく。
悲しいだとかショックだとか、衝撃を受けたことを自分が惨めだという変換にしたくはなかった。
そう思ってしまったらどこまでも落ちていってしまいそうで、無意識のうちに自分を保守していた。