過保護なドクターととろ甘同居
さらりと自分の口から出てきた言葉に自分で少し驚いた。
こうやって、あの出来事を自虐ネタにできるまで、傷は癒えているのかもしれない。
日が経つにつれて……いや、もしかしたら、先生のおかげかもしれない。
宮城さんは口を尖らせて「それは見る目がないだけ!」と力強く言ってくれた。
「三枝さん、やっぱり院長とかどう?」
続けざまに宮城さんがそんなことを言ってきて、口をつけたお茶を吹き出しそうになってしまった。
「えっ、な、何言ってるんですか!」
「だって、いいんじゃないかな〜って最近よく思うのよ」
「先生には、お世話になってますけど、でも、私にとって先生は命の恩人みたいなもので」
やたら早口になってそれらしいことを言う私を、宮城さんは冷やかし混じりのニヤニヤした顔で見つめてくる。
その隣に座る木之本さんも、上品に「ふふふ」と笑ってみせた。
「またまた、いいじゃない、お世話になってるご縁でさ、丸く収まっちゃえば!」
「いえいえ、先生は私には雲の上のような方ですから」
「えっ、それは肩書きが? それとも外見が?」
「あ……両方ですかね」
私の返答に宮城さんは「あははは」と笑う。
木之本さんが「大丈夫よ、三枝さん十分可愛いから」なんてお世辞を言ってくれた。