サクラサク
『やったじゃん、里奈!』
電話をしていても、美穂が嬉しそうな顔をしてるんだろうな、ということは分かる。
私と美穂は、只今電話中。
うれしくって、ついつい電話してしまった。
ちなみに私は今自分の部屋にいる。
「すっごくテンション上がっちゃった!へへへ」
私も嬉しさのあまりに顔がにやける。
大輝と一緒の高校、かぁ……。
なんて、気がはやいか。
『でもさ、大丈夫?勉強』
勉強?
あっ!
そだ、浮かれてる場合じゃないよ!
松瀬高校の偏差値っていくつだ?
『松瀬高校って頭いいの?私はよくわかんないんだけど』
あ、知らないのね……。
まあ、自分で調べるけどさ。
「じゃ、松瀬高校について色々調べてみる!まあ、大輝が知ってるかもしれないけど、いちお念のため」
私はそう言って、ちらりと窓の外から見える大輝の部屋をみた。
案の定、明かりはついていて部屋の中にいるんだろうな、というのと、窓のすぐ近くにはいないんだろうということが確認出来た。
勉強でもしてるのかな?
でも、その前に大輝は試合だよね。
大輝は男子バレーボール部だ。
もうすぐ引退ってことあって、大輝もやる気がさらに増していた。
ちなみに私は美術部。
中学はいちお部活には入ったほうがいいってお母さんに言われたからさ。
昔からスケッチとかはしてたから美術部がしっくりくるかなーってね。
なんて、そんなことはどうでもいいや。
とにかく、大輝のことだ。
窓開けたら気づいてくれるかな?
ガラッ
大輝の部屋の窓が開いた。
えっ!
思いが通じた⁇
なんて思ってたら、大輝と目があった。
あわわ。
私は慌てて窓を開ける。
『ちょっと、里奈ー?もしもーし!』
あっ、すっかり忘れてた。
「ごめん、切るね!じゃ、また明日!」
『えっ、ち、ちょっと!』
美穂の制止も聞かず、私は電話を切った。
…そして私達はお互いをみつめあったんだ。