英雄は愛のしらべをご所望である
セシリアは「そうですねぇ」と言葉を探す。
「つ、強くて素晴らしい方、ですかね」
「ぷっ……」
にこりと笑おうとしたセシリアの顔が不自然に固まる。反射的に振り返ったセシリアの目に映ったのは、あからさまに笑いを堪えているであろう口元を拳で隠し、僅かに俯いているウィルの姿だった。
間違いない。先ほどセシリアの耳が拾った音は、ウィルの吹き出した音である。
セシリアはすーっと目を細めた。視線に気づいたのか、ウィルと目が合うも、何事もなかったように先ほどまでと変わらぬ表情に戻る。
なんとなく予想はできていたが、ウィルの中にあるセシリアのイメージが容易に想像できた。
いや、当然と言えば当然だ。なんたって、セシリアが黒き英雄の物語愛を熱く語ってきた相手はウィルで、思い出すだけでも恥ずかしい言葉の数々をかけてきた。
しかし、「口下手で不器用、でも優しくて、運命の人を一途に想う、最高にかっこよくて可愛らしい人!」 なんて子供の頃のように言うとでも思っているのか。
きっとリースの求める答えは、偉業を成し遂げた黒き英雄についての感想なのだから、セシリアの回答は間違っていないはずだ。
ただ、ウィルに知られていることが気恥ずかしいやら居たたまれないやら。セシリアの頬が赤く染まっていく。
けれど、同時に口元が緩むのをセシリアは抑えることができなかった。
「つ、強くて素晴らしい方、ですかね」
「ぷっ……」
にこりと笑おうとしたセシリアの顔が不自然に固まる。反射的に振り返ったセシリアの目に映ったのは、あからさまに笑いを堪えているであろう口元を拳で隠し、僅かに俯いているウィルの姿だった。
間違いない。先ほどセシリアの耳が拾った音は、ウィルの吹き出した音である。
セシリアはすーっと目を細めた。視線に気づいたのか、ウィルと目が合うも、何事もなかったように先ほどまでと変わらぬ表情に戻る。
なんとなく予想はできていたが、ウィルの中にあるセシリアのイメージが容易に想像できた。
いや、当然と言えば当然だ。なんたって、セシリアが黒き英雄の物語愛を熱く語ってきた相手はウィルで、思い出すだけでも恥ずかしい言葉の数々をかけてきた。
しかし、「口下手で不器用、でも優しくて、運命の人を一途に想う、最高にかっこよくて可愛らしい人!」 なんて子供の頃のように言うとでも思っているのか。
きっとリースの求める答えは、偉業を成し遂げた黒き英雄についての感想なのだから、セシリアの回答は間違っていないはずだ。
ただ、ウィルに知られていることが気恥ずかしいやら居たたまれないやら。セシリアの頬が赤く染まっていく。
けれど、同時に口元が緩むのをセシリアは抑えることができなかった。