クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「私も不思議な感じがしてなりません」


もしも、このタイミングでピエトーネの鉱山が発掘されなければ。もしも、クレアの育ての国王がフィアーコと友好関係を築くことを考えなければ。クレアは未だにマリアンヌのまま。もちろん、レオンと出会うこともなかっただろう。

それはそれで別の幸せがあったのかもしれないが、この巡り会わせは決して偶然ではないと思える。いくつかの偶然が重なった、必然だ。

そう考えると、胸が打ち震えるほどにレオンへの愛しさが募る。

不意にレオンはクレアの左手を取った。
レオンが袖をまくり上げようとしたものだから、クレアは慌ててそれを止めた。
そこには、ひどい火傷の痕がある。レオンには、できればあまり見てもらいたくないのだ。

必死に隠そうとするクレアの右手をレオンは優しく払った。


「改めて謝罪したい」


そう言われてしまえば、意固地になることもできない。クレアはおとなしくされるがままになった。
露わになった傷痕に、レオンが慈しむように口づける。


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