クールな王太子の新妻への溺愛誓約
しかしその目の瞬きの速さといったらない。超高速だ。動揺していることは明らかだった。
「しょ、初夜、でございますね」
声まで裏返っている。
「――ッンン!」
絡んだ痰を払うようにして気を取り直してから、ベティはもう一度「初夜でございますね」と言い直した。今度は普通の声のトーンだ。
「私もうっかりしておりました。クレア様にそれとなくお伝えしておこうと思いながら、気がつけば婚儀まであとわずか。侍女として失格でございます」
「やだ、ベティ。そんなに大袈裟に考えないでよ」
なんの知識もないまま、“こと”に及ぶ王女だっているだろう。そもそもクレアのように聞く方が稀ではないか。
「いいえ。クレア様がレオン殿下にかわいがっていただけるように努めることが、私のなによりの役目でございますから」