クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「クレア!」
そう呼ぶ声と共にレオンが部屋へ駆け込んできた。眉間に寄せられた眉、真剣な眼差しは、クレアの姿を見て若干緩む。
「どうかなさったのですか?」
クレアが尋ねると、レオンの視線が横へと揺らいだ。そばにいるパトリシアを見たようだった。
レオンの態度からなにかを悟ったか、パトリシアは「失礼いたします」とそそくさと部屋から出て行った。
そのうしろ姿を見送ってから、レオンが「なにか変ったことはないか」とクレアに向き直る。
「変わったこと、でございますか?」
ベティと顔を見合わせ、クレアは「いいえ」と首を横に振った。
「……そうか」
レオンが小さく息を吐く。
「なにかあったのですか?」
「……いや」