クールな王太子の新妻への溺愛誓約
突然の事態に、クレアはしばらく呆然と立ち尽くす。
ドアの向こうでは、なにかやり取りをする声が漏れ聞こえてくる。窓の外に目を向けてみれば、庭園にも騎士団が忙しなく走る姿が見える。これまで穏やかだった宮殿内が、にわかに騒がしくなった。
「クレア様、大丈夫でございますよ」
そう言ってクレアの手を握ったベティの手も、ほんの少し震えているように感じた。
「……そうよね。レオン様がいるし。きっとすぐに見つかるわよね」
「そうでございますよ」
ふたりはそう言うことでお互いに励まし合う。
「クレア様、紅茶でもいかがですか?」
気を取り直して、ベティが提案する。
「そうね。いただこうかしら」
「はい、かしこまりました」
ベティは部屋の隅に置いていたワゴンで早速準備を始めた。