クールな王太子の新妻への溺愛誓約
レオンとの婚礼の儀まで、あと二日。それまでにこの事態が終息するようにと、クレアは願うばかりだった。
そして、特になんの進展もないまま、その日の夕方を迎えた。
レオンはあれから顔を見せていない。
(レオン様はご無事かしら。早く見つかるといいのだけど……)
部屋の外で大掛かりな捜索が行なわれていることを知っているだけに、心穏やかではいられない。レオンの指示に従ってクレアとベティは部屋にこもっているが、なにをするわけでもなく手持無沙汰に過ごしていた。
間もなく陽が落ち、辺りが暗闇に包まれるという時だった。部屋にノックの音が響く。
(――きっとレオン様だわ!)
そう思ったクレアが喜び勇んでドアを開けると、そこにいたのはレオンではなくマートだった。
「マート! 腕は大丈夫なの? 休んでいなくて平気なの?」
まだ包帯は巻かれたままだ。
矢継ぎ早にクレアが尋ねると、マートは「ご心配には及びません」と恐縮した。
「こんな時におちおち寝てなどいられませんから」