クールな王太子の新妻への溺愛誓約

カーテンの隙間から窓の外を覗くと、そこは王宮の裏口付近だった。ここにも普段は衛兵がいるはずだが、その姿は見えない。もしかしたら、盗賊の捜索に借り出されているのかもしれないとクレアは思った。


「ベティ殿、ちょっとよろしいですか?」


馬車にマートが顔を覗かせる。


「はい、いかがいたしましたか?」

「ちょっと降りていただけないでしょうか」

「……私が、ですか?」


ベティは自分の胸を指差した。


「はい、ちょっと見ていただきたいものがあるんです」


不審に思いながらも、ベティが馬車から降りる。


「マート! 私は乗っていていいの?」


クレアが声をかけると、マートは「はい、その場でお待ちくださいませ」と返事をした。

(なにがあったのかしら……)

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