クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「……どういうことなの? ――もしかして、盗賊を逃がしたのはマートなの?」
クレアがハッとする。
「察しがいいですね。ただ、盗賊とは違いますが」
マートはあっさりと白状した。
「盗賊とは違う? それならいったいなんだというの」
クレアの口調が強くなる。
「侍従です」
「……侍従? 誰の?」
レオンの侍従のはずがない。
「私のです」
クレアの頭の中はますますパニックになった。
“私の”とはどういうことなのか。マート自身が侍従ではないか。
「訳がわからないといった顔ですね」