クールな王太子の新妻への溺愛誓約
マートがクスクスと笑う。
今まで見てきたマートとはどこか違って見える。これまでのマートは照れたように笑い、性格も控えめだった。ところが今クレアの目の前にいる彼は、自信に溢れて堂々としている。
おそらく今馬車を操っている者は、捕らえられていた一味だろう。
「それより、ベティはどうしたの!? まさか――」
クレアは口もとを手で押さえた。頭を恐ろしい想像が過ったのだ。
心臓が早鐘のように動き出す。
「大丈夫です。手にかけてなどいませんから。薬でちょっと眠ってもらっているだけです」
薬で眠らせた……?
クレアは信じられないという顔でマートを見た。
「どうしてなの!? どうしてそんなことをしたの!?」
クレアは気持ちが抑えきれず、マートに詰め寄った。