クールな王太子の新妻への溺愛誓約

そこで、ピエトーネと姻戚関係を結ぶことにより、鉱山の権利を手に入れ、国を大きくするという野望を抱いたそうだ。ところがその願いは儚く散り、国は発展する道を閉ざされた。

その時立ち上がったのが、王太子であるマートだったらしい。
ただ、その策は決して褒められるようなものではなかった。“マリアンヌ”を誘拐し、鉱山をモンタリスクの支配下にできるよう便宜を図ってもらうというものだったのだから。

マートは身分を偽り、フィアーコの王宮に見事忍び込むことに成功。しかも剣術が達者なことから、あっという間にレオンの信頼を得て、侍従としてめきめきと頭角を現していったという。


「ですが、途中で計画を変えたくなったのです。鉱山が手に入ればよかったのですが、そちらはどうでもよくなりました」


マートは妖しげにクレアを見つめた。
その目から逃れなくてはならない気がして、クレアは咄嗟にマートから離れる。


「クレア、君がほしくなったんだ」


突然口調まで変わったマートが、クレアの手を握る。

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