クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「そうはいかないよ。やっと手に入れられたんだから」
マートは口の端に笑みを浮かべながら、クレアに顔を近づけてきた。
必死に顔を背けて抵抗していた時だった。ガツンという衝撃が馬車を襲う。次の瞬間、馬車は横滑りをして急停止した。クレアたちの体も軽くバウンドする。
「なにごとだ!」
マートが声を荒げ、カーテンを開けて外を覗く。
「――なに!?」
マートは慌てたように馬車から降りていった。
(……なにがあったのかしら)
不安に駆られながら、おそるおそるクレアも窓の外を覗く。
「――レオン様!?」
クレアは思わず声を上げた。
そこにいたのは馬に乗ったレオンだったのだ。