クールな王太子の新妻への溺愛誓約

必ず助けに来てくれると思っていた反面、もう会えないかもしれないという恐怖もあったクレアは、我を忘れて馬車から飛び降りた。
するとそこにいたのはレオンただひとり。。フィアーコの騎士団は従えていない。


「レオン様!」

「クレア!」


迷わず彼の元へ駆け寄ろうとしたその時、マートに腕を掴まれてしまった。


「――キャッ!」


それを見たレオンの顔が、怒りに染まっていく。


「おのれ……マート、自分がなにをしているのかわかっているのか!」


レオンの激しい叱責が闇夜に響く。馬上からマートを恐ろしい形相で見下ろした。


「もちろんわかっていますよ。クレアをこの手に抱きしめている」


そう言いながら、マートはクレアの腰に手を移動し強く抱きしめる。レオンを挑発するような態度だ。

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