クールな王太子の新妻への溺愛誓約
◇◇◇
神父の読み上げる経典は、もはやふたりの耳には届いていない。レオンとクレアは手を取り合って見つめ合い、ふたりだけの世界に入り込んでいた。
かろうじて聞こえたのは、『誓いのキスを』という言葉だけだ。
待っていたとばかりにレオンが腰をかがめる。唇が重なると、それまで抑えていた気持ちに歯止めが効かなくなり、軽く触れるだけのキスのつもりが思いがけず長く深いものになってしまった。
参列者から漏れるため息は、口づけを交わすふたりがあまりにも絵になっていたせいだろう。
神父が「そのへんでおやめください」と声をかけ、そこでやっとふたりは我に返った。
宮殿の前に集まった国民は、ざっと数千人。二階のバルコニーに揃って現れたレオンとクレアを見て、方々から感嘆のため息が漏れた。
しばらく口をぽかんと開けたままだった国民の口々から、「クレア様、おかえりなさいませー!」という声が上がる。今は統一されたタカマッサ出身の者たちだろう。
方々から「おめでとうございます!」との祝福の声が合唱のように轟き、その声は宮殿が揺れるのではないかというほどだった。
美しい笑みを浮かべて手を振るクレアの横顔を、レオンは感慨深く見つめた。