わたしがまだ姫と呼ばれていたころ
「ええ。あなたは過去世でおかあさんを助けられなかったことを、ずっと悔やんでいたんですね」
「そうだったんですね……」
「でも、今心からそのことを申し訳なく思って、涙を流したことで、きっと浄化されたのでしょう」
「そうなんですか」
「気づいてもらえたことで、ご先祖様は喜んでいらっしゃるようです」
「じゃあ、あれはわたしのおかあさんと、わたしじゃなくて?」
「魂はあなたのおかあさんと、あなた自身のものでしょう」
「じゃあ、ご先祖様って?」
「あなたのおかあさんの魂が、昔宿っていたからだの持ち主です」
「今のわたしのおかあさんも、これで救われたってことでしょうか」
「ええ、今日、帰ってからおかあさんと話してご覧なさい。わかると思いますよ」