わたしがまだ姫と呼ばれていたころ
ベッドに座ったままの姫は、そんな先生を見上げて微笑んだ。
先生は姫の隣に座ると、背中に両腕を回し、優しく抱きしめた。
姫は目を閉じた。
唇に温かい感触が……。
上唇と下唇をほんの少しだけ離すと、先生の口から生暖かい液体が流れ込んできた。
砂糖の甘さじゃない。こんなに甘いハーブティーは初めてだ。
ステビア? ううん、違う。
きっと、先生のせいだ。
それから、ゆっくり時間をかけて、先生の口から姫の口へとハーブティーは移動していった。
少しでも隙間ができるとこぼれてしまうから、「慎重に!」という大義名分を得て、濃厚なキスは堂々と行われた。