不機嫌なジェミニ
「セイジ、余計な事教えんなよ。」と振り向いたジンさんが顔をしかめる。

「そんな事、僕が言わなくても、すぐにわかるでしょ。
それより、この間雑誌の撮影したモデルの子紹介してくれるって言ってたじゃないですか」

「だって、おまえに女紹介すると蘭子がうるせーし」

「僕、蘭子さんと付き合ってないけど」と小声でため息をつく。

…私もふたりは恋人って思ってたけど…?

セイジさんは私が驚いたのがわかったようで、

「彼女、外国育ちだから、ボディータッチが多めなんだよねぇ」とブツブツ言っている


そう
美男美女でお似合いって思ったけど…



「どっちかっていうとホワンとしてるトウコちゃんが好みだけど…」

とセイジさんが私の顔を見て、ニッコリ続けて言うと、ジンさんが、怖い顔で

「何言ってる、トウコはおまえと恋愛なんてしている暇はない。」と顔をしかめた。


「…」私とセイジさんは顔を見合わせる。

勝手にそんな事言われてもと、私の顔不満が出たようで

「トウコ、わかったな。」と念を押して、ジンさんは階段を降りて行ってしまった。



やれやれ。
専門学校に続き、見習い中は
恋人は無しって事か…

私はイロイロと不器用で、
作業や課題に夢中になると、連絡をとったりするのも、デートの約束とかもすっかり忘れてしまうので
恋人になる前に男の子達はみんな目の前からいなくなってしまう…

就職できたら合コンに誘ってもらえるように学校の友達に頼んでおいたのに…

とため息を吐いて、エレベーターに乗り込んだ。
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