不機嫌なジェミニ
『D』の部屋に戻って

「セイジ、新しいブランドの名前の候補とおまえらしいデザインいくつか出せ。」
とジンさんは窓際の大きなデスクから革製のトートバッグにデザイン画の束をいれている。

「イエス、サー。」とセイジさんはおどけてドーナツのテーブルの上のパソコンの前に座る。

セイジさんの席はジンさんのデスクの前だ。


「トウコ、今週中に面接と同じテーマで10枚デザイン画だせ。」

「今日は木曜です。10枚なんてむ、無理です！」と泣き声を出すと、

「なんだ、その弱気は。
まあ、今週は慣れてないから5枚にしといてやる。
これからいろんなお題でデザイン画を毎週10枚だぞ。」
とジンさんは私をの髪をまたくしゃくしゃとかき混ぜて、

「由良（ゆら）さんに会ってくる。」と部屋を出て行き、

「待ってジン、私も行く。」と蘭子さんがコートとバッグを持って追いかけて行った。

急に静かになった部屋にセイジさんと残される。
ジンさんはちょっとしたハリケーンみたいだ。
自分の言いたいことだけ言って急にいなくなった。


私は髪がくしゃくしゃのままでポカンとドアを見ていると、

「ちなみに、由良さんは『アクエリアス』のジンさん専属のジュエリー職人さんね。
さてっと、ボスがいない間にお昼でもたべようか。
とっくにお昼の時間過ぎてるけど…
『マッキンレー』でご飯食べない？
就職したお祝いに奢ってあげるからさ。」とセイジさんは私を促して一緒に部屋を出た。


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