不機嫌なジェミニ
バレンタインの後、
ジンさんはかわらない態度で会社ではいつも通りに私のデザイン画にたくさんバツをつけ、
時間が合えばみんなで『マッキンレー』で昼食を食べ、（私のお弁当を夕飯に食べている）
週に1枚か2週に1枚合格のデザイン画を選んだ。


でも、土曜の休日出勤の後は夕飯を一緒に食べたり、少しだけお酒を飲んだりして
家に送ってくれ、頭をクシャックシャッと撫でて帰って行った。

これってデートなんだよねえ。




後、ジンさんはピンバッジを作って私のリュックに留めつけるのが趣味になったようで、
「『ハトこ』と交換」と私の目の前に『カエルのトウコ』や、『アライグマのトウコ』や、
『アヒルのトウコ』を差し出し、
「私が交換しません！」と怒ると、「しょうがないな」と言いながら、
私のリュックにピンバッジを増やしていく。

私のリュックはジンさんのピンバッジで高級品に変わってしまい、
ピンバッジを無くさないようにとつい、混んだ朝の電車は心配になって身体の前にリュックを抱えるようになってしまった。

ある日、偶然改札でジンさんと一緒になり、

「カンガルーのトウコ」

とジンさんは笑い、
次のピンバッジはカンガルーになりそうな予感だ。













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