不機嫌なジェミニ
3月の終わりの金曜日。

今日はジンさんに食事に誘われている。
バレンタインのお返し。と言われて、ちょっと恥ずかしい。

私は朝から、そわそわして落ち着かない。
少しだけ、おしゃれしようと、春らしい花柄のワンピースと、ベージュのパンプスを選んだ。

私が出勤して、コートを脱ぐと、
珍しい私のワンピース姿に

「トウコ、今日はデート？」とジンさんは私の顔を覗く。

「デートじゃありません！」と顔を赤くすると、

「楽しみにしてる。」と耳元で囁かれ、私はますます赤くなって俯くと、

ジンさんはにっこり微笑んで、部屋を出て行った。


セイジさんが

「何で、俺じゃなくてジンさんなの？」と私の顔をちょっと見る。

私が黙ったままでいると、

「セイジ、しょうがないから、私が遊んであげる。」と蘭子さんが笑った。










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