タイムリープ
『ああ。俺たち昨日、デートしたからな。彼氏と彼女だろ』

電話越しから聞こえる彼からの声だけだったが、優太ははっきりと私のことを彼女だと言ってくれた。

彼の表情は分からなかったが、きっと今の私のように頬を赤くしていただろう。

「優太」

彼を呼び捨てにすると同時に、私の瞳から涙が流れた。

彼女と言ってもらえてうれしくて流した涙なのか。タイムリープしてしまうと、この彼との関係がなかったことになるから悲しくて流した涙なのか。私は分からないまま、涙をひたすら流した。

『泣いてるのか?梢』

私が泣いてることに気づいたのか、優太が心配そうに訊いた。

「もし、デートできないって言ったら、優太は怒る?」

私は優太の質問を無視して、反対に訊いた。

『は?なに言ってんの?梢。俺たち、昨日デートしたじゃん』

と、当たり前のことを電話の向こうから優太は言った。

昨日、彼とデートしなかったら、私は優太に彼女と言ってもらえないんだよね。

そう思うと、私はよけいに涙があふれ出した。
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