タイムリープ
そのとき、私の鼻腔をくすぐるいい匂いがした。

私はその匂いにそそがれ、そっちに視線を向けた。視線の数メートル先に、私が作った記憶がある朝食が目に映った。

おわんに注がれた、温かいみそ汁。お茶碗によそわれてる、白いご飯。マグカップに注がれた、水。

「戻ったんだぁ」

自分の作った朝食を見て、私は母親が死ぬ前の日に戻ったことを実感した。それは、優太とデートする前の日に戻っていたことを意味していた。

ーーーーーーブルブル!

そのとき、食卓テーブルの上に置いてあった私のピンク色のスマートフォンから着信音が鳴り響いた。

ーーーーーーきっと、優太からのLINEのメッセージが送信されたんだぁ。

私は鉛のような重い足取りで、スマートフォンを手に取った。

ディスプレイに目を落とすと、LINEの新着メッセージが一件入っていた。

「やっぱり、優太からのデートの誘いだよね」

目に悲哀の色を浮かべながら、私はLINEの新着メッセージを確認した。
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