タイムリープ


ーーーーーーブルブル。

翌朝。私は、けたたましいスマートフォンの着信音で目を覚ました。
ぼやけた視界の先に、木目の古めかしい天井が私の目に映った。

「もしかして、詩織から………?」

私はふとんから起き上がり、近くにあったスマートフォンを手に取った。

昨日家に帰った後、私はすぐに詩織に電話やLINEを送った。しかし、彼女からの折り返しの電話や返信はなかった。

私は、スマートフォンの液晶画面に視線を落とした。

「優太………」

ディスプレイに表示されていたのは詩織ではなく、優太だった。

私はディスプレイに表示されている電話マークを右にずらして、優太からの電話に出た。

「もしもし、優太」

「梢か?」

電話越しから聞こえる優太の声は、力がなかった。

「どうしたの優太。なんか元気ないけど………?」

「………死んだ」

「えっ!」

彼の声ははっきりと聞き取れなかったが、不吉な予感が私を襲った。

朝日がゆっくりと昇り、暖かな陽射しが部屋に差し込んでいるのに、私はなぜか寒気を感じた。
< 64 / 210 >

この作品をシェア

pagetop