タイムリープ
「詩織が、トラックに轢かれて死んだ」

「えっ!」

優太の今にも泣き出しそうな声を聞いて、私の頭の中が真っ白になった。

「昨晩、詩織が赤信号で横断歩道を渡っていたところ、横からトラックが突っ込んだんだ」

「そんな……嘘でしょ………」

私は、震えた声で彼の言ったことを否定した。

「俺も、そう思いたい。でも、詩織は周りの声が聞こえないぐらいひどくぼーっとしていて、横から来るトラックと赤信号に気づかなかったらしいんだ」

優太の嗚咽声が、電話越しから聞こえる。

ーーーーーー私のせいだ。

私は、昨日初めて見た、彼女の泣いてる顔を思い出した。

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