クールな部長とときめき社内恋愛
いつも余裕があってわたしを振り回すようなことをする彼が、今は切羽詰まったような顔をしている。
わたしの気持ちを昂らせるには十分だった。

恥ずかしいから、シャツを掴んでいる手に力を入れる。

逸希さんはわずかに口もとを緩めてわたしの頬に軽くキスをすると、ソファに体を倒された。
唇が首筋へと移動して、肌に触れる。その刺激にビクン、と反応したとき、テーブルの上に置いてあった彼のスマートフォンが震えた。

マナーモードの振動音が室内に響く。動きを止めた逸希さんはタイミングが悪いと言いたげに顔をしかめながらも続行しようとしたけれど、鳴りやまないその音に小さなため息をついた。

「ごめん……」

「い、いいです、早く出てください、大事な用事かもしれないし!」

先ほどまでの甘い雰囲気が恥ずかしくなってきて、わたしは彼から目を逸らす。
わたしの頭を優しく撫でた後、離れていった彼はスマートフォンを手に取って「会社からだ」と告げ、リビングから出ていった。

その後ろ姿を見届けた後、起き上がってゆっくりと息をついた。
まだ体が火照っていて、なぜか切ない感じがする。

逸希さんが一番だっていうわたしの想いは、ちゃんと伝わったかな?
熱くなった頬を触りながら、ぼうっと考えていた。
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