クールな部長とときめき社内恋愛
そこまでって、なんのことだろう。逸希さんはなにかわたしのことを、春伸さんに伝えていたのだろうか。
よくわからないまま、とにかく悪いイメージを持たれないように逸希さんの恋人として、最後まで挨拶をしようと思った。
「まだ逸希さんとは付き合いはじめたばかりなので、これから彼のことを知っていけたらいいなって思っています。それで、お兄さんの春伸さんとも仲良くなれたらうれしいです」
こういう感じで、大丈夫かな。
少しだけ照れを感じたわたしは、うつむいて春伸さんの反応を待った。
「ふうん。それならせっかくだし、どうして逸希が君に近づいたのか俺が教えてやろうか」
顔を上げたわたしに、彼は冷めた目を向けていた。
相手の声が、なんだか不快に感じるのは気のせいではないように思う。
「営業事務の友野舞花が『シャイン』の社長の息子、倉山晃久と交際していることを知って、あいつは君に近づいたんだ」
「……え?」
「取引先のことをよく調べて知っておくのは、大事なことだろ。とくにシャインとは、ここ数年あまりいい取引ができていなかった。倉山常務を攻略するにはどうしたらいいかって、営業部はいつも頭を悩ませていたんだよ」
なにを言っているのだろうかと、わたしは相手をじっと見つめた。
先ほどから“君に近づいた”なんて言っているけど、逸希さんとは振られた日に偶然ぶつかって……偶然? あの日、彼はどうしてあの場所にいたのか、尋ねたときの態度が変だったことを思い出した。
よくわからないまま、とにかく悪いイメージを持たれないように逸希さんの恋人として、最後まで挨拶をしようと思った。
「まだ逸希さんとは付き合いはじめたばかりなので、これから彼のことを知っていけたらいいなって思っています。それで、お兄さんの春伸さんとも仲良くなれたらうれしいです」
こういう感じで、大丈夫かな。
少しだけ照れを感じたわたしは、うつむいて春伸さんの反応を待った。
「ふうん。それならせっかくだし、どうして逸希が君に近づいたのか俺が教えてやろうか」
顔を上げたわたしに、彼は冷めた目を向けていた。
相手の声が、なんだか不快に感じるのは気のせいではないように思う。
「営業事務の友野舞花が『シャイン』の社長の息子、倉山晃久と交際していることを知って、あいつは君に近づいたんだ」
「……え?」
「取引先のことをよく調べて知っておくのは、大事なことだろ。とくにシャインとは、ここ数年あまりいい取引ができていなかった。倉山常務を攻略するにはどうしたらいいかって、営業部はいつも頭を悩ませていたんだよ」
なにを言っているのだろうかと、わたしは相手をじっと見つめた。
先ほどから“君に近づいた”なんて言っているけど、逸希さんとは振られた日に偶然ぶつかって……偶然? あの日、彼はどうしてあの場所にいたのか、尋ねたときの態度が変だったことを思い出した。