クールな部長とときめき社内恋愛
どうして否定しないの? 嘘だって、ちゃんと言ってほしいのに。

「逸希さん……?」

「……ごめん」

震えた声で名前を呼んだわたしに、逸希さんは目を逸らして謝った。
それは、春伸さんから聞いた話が本当ってこと?
悩んでいるときや辛いとき、いつも彼がそばにいてくれたのは、わたしが取引先の常務の元恋人だったから。

「優しくしてもらえて、ドキドキした……また恋したいって思えて、好きって言われたときすごくうれしかったのに……」

「待ってくれ、舞花、俺は」

「言い訳なんて聞きたくない……!」

わたしは涙を堪えながら逸希さんの言葉を遮った。
悲しさ、悔しさ、いろいろな感情が入り混じって苦しい。お互い惹かれあったと信じていたのに、違ったんだ。

逸希さんが気になっていく自分が最初は怖かった。でも、彼の優しさに触れてそばにいてくれる安心感にどんどん心が解けて、好きだって強く想うようになった。

全部、わたしのことを想ってくれている行動だと思っていたのに。
運命だって思ったの……馬鹿みたいだ……。

「もう、仕事以外でわたしに声をかけないでください」

「舞花……!」

背を向けて離れようとしたわたしの手首か掴まれる。それを、勢いよく振り払った。唇を引き締めながら涙を浮かべるわたしを見た逸希さんは、悲しそうな顔をする。
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