クールな部長とときめき社内恋愛
そんな表情、しないでほしい。頭が痛い、グラグラする。
いっきに沸き上がった苦しい想いと泣くのを我慢しているせいか、顔が熱くなっていた。

わたしはもう一度背を向け、なにも言わずに彼から離れた。


彼を好きになった自分は、いったいなんだったんだろう。
偽りの優しさにうれしくなってときめいて、浮かれていた自分がとても惨めだ。

事実を知ってから約一週間、逸希さんとは仕事以外で会話をまったくしていない。
彼からのメッセージも着信も、わたしは無視をしていた。

話をしてこれ以上ショックを受けるのが怖い。
やっぱり、恋なんてしなければよかった。運命なんて思って舞い上がっていた自分が恥ずかしい。

逸希さんとのことを思い返すと辛くなるから、仕事中はなるべく考えないようにしていた。
だけど、休憩などのふとしたときにやっぱり頭に浮かんでしまう。

「どうしたの? なんか最近元気ないね」

お昼休みの食堂でわたしの隣に座って定食を食べていた美知が、心配そうな表情で見てきた。

自分でも気づかないうちにぼうっとしていたらしい。

「わたしに話せることだったら聞くよ?」

気遣いながらそう言ってくれた美知に温かみを感じ、社内だということを気にしながらも少しだけ話をした。
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