クールな部長とときめき社内恋愛
視線を落として静かにそう言った並田さんを見ていると、一階のエントランスへたどり着いた。

「あっ、わたしが春伸のこと好きっていうことは内緒にしてね。か、必ず自分で気持ち伝えるから……!」

「わかりました。並田さん、頑張ってくださいね」

「うっ……が、頑張る、当たって砕けろよ……!」

そう言った並田さんは、「それじゃ、また今度話そうね!」と明るい笑顔で手を振ってくれて、会社の外で別れた。

ひとりになったわたしは、並田さんの言葉を思い出す。
好きな人が自分のことを好きになってくれるっていう幸せなことが起こって、お互いが気持ちを素直に伝えたから結ばれている。

逸希さんはわたしのことを好きだと言ってくれた。それはとてもうれしくて幸せなことだったけど、今もその気持ちを信じてもいいのかな。

コンビニで雑誌とりんごジュース、ロールケーキを買って帰宅すると、商品の入った袋をテーブルに置き、ソファに座って脱力する。

静かな空間でため息をついた後、そのまま少し休んでから紙パックのりんごジュースへと手を伸ばした。

逸希さんもコンビニでこのりんごジュースを買ってくれたんだよね。
そんなことを思い出して切なくなっていると、ストローを床へ落としてしまった。

拾うために屈んで手を伸ばしたとき、テーブルの裏側に付箋が一枚貼ってあるのを見つける。
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