クールな部長とときめき社内恋愛
「藤麻さん、ハンバーグ好きなんですね」

「うん、大好き」

ハンバーグから目を逸らさない彼に、わたしはクスクス笑った。すると彼は、ムスッとした顔になる。

「子供っぽいって思っただろ」

「いいえ、素直な人だなと思って」

わたしなんて、さっきからいろいろと気にしてパスタにすればよかったとか、余計なことを考えていたのに。
ハンバーグを食べに来たのだから、どう思われたって別にいいよね。

ボリュームたっぷりのハンバーグをナイフで切り分け、思い切り口の中へ頬張った。
だけど、熱すぎて口内が大変なことになる。感想を言いたいのに、すぐには喋れそうにない。

「熱いっ、でも美味しい……!」

「大丈夫かよ、友野さん」

藤麻さんはやっと言葉を発することができたわたしを笑いながら、フォークとナイフを丁寧に使っていて品の良さを感じた。

子供っぽいのはわたしのほうだった、と食べ方を改めようとしたとき、わたしの顔を見てなにかに気づいた彼が手を伸ばしてきた。
そして、わたしの髪を耳へとかける。

「ソースついちゃうといけないだろ」

「えっ、あ……すみません……」

目を細める彼にドキッとする。指先が触れた頬や耳が熱くなってきて恥ずかしいのに、藤麻さんの魅惑的な表情に捕まったまま。

職場の付き合いだって思うようにしていたはずなのに、どうしよう、もう意識せずにはいられない。
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