クールな部長とときめき社内恋愛
ずっとなにかが詰まって抜けなくて、発散したいという気持ちはあった。藤麻さんはわたしの部屋に向かう途中、コンビニで大量にお酒を買っていて、それを横目にわたしは好きな摘みを買っていた。

部屋で飲もう!とはお互い直接言っていないのにそうするんだろうなと思ったし、藤麻さんも「お邪魔します」とわたしの部屋へ堂々と入ってくる。

『むしゃくしゃするから俺に付き合ってよ』と言われたとき、ため込んでいる気持ちを彼が察してくれたように感じた。

「結婚したいと思う?って聞いたくらいで重いとか、引くとか、うるさい! わたしはね、結婚の対象外って言われて振られるのが嫌だから尋ねてみただけなんです! こっちの気持ちなんて知らないくせに、あっちこっちでネタにするのはやめてほしい!」

「へー、今日は飛ばすね、友野さん」

これまで溜まっていた鬱憤を爆発させて缶チューハイをゴクゴクと飲むわたしに、藤麻さんは目をパチパチさせたあと、ふっと笑った。

部屋のテーブルにはお酒と摘み、そして空き缶。
落ち込んで泣いて甘えたりするよりも、今はこうして荒々しく発散したい気分だった。

「大体、“重い女”ってなに? 体重? 抱っこしたことないくせにわからないでしょう!わたしはね、ちょっと負けず嫌いで過去を少し引きずってしまう性格なだけです!」

「ぶっ……」

噴きだすような面白いことは言っていませんけど!?と、藤麻さんを睨むように見たあと新しい缶へ手を伸ばした。
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