クールな部長とときめき社内恋愛
顔を上げて隣にいる藤麻さんに視線を向けると、彼はわたしをじっと見つめていた。
藤麻さんと一緒にいるとドキドキする。どうしてそういう気持ちになるのかわからないわけじゃないのに、今までずっと認めないように避けてきた。
「そうですね……わたしはまだ、新しい恋をはじめる勇気がないんです」
先ほどまでの勢いをなくして視線を落としたわたしの頭の上に、ポン、となにかが乗っかった。横を見ると、藤麻さんがわたしの頭を優しく撫でている。
「男の傷は男で癒せば? 俺、相手してあげるよ」
誘うような彼の声色に胸の鼓動がいっきに高鳴った。どういうつもりで言っているのだろう。わたしの傷を癒すために、藤麻さんが恋人みたいな存在になってくれるとでもいうの?
頭を撫でていた手がゆっくりと頬へ移動してきた。熱くなってきているそこを親指で軽くなぞるようにされて、妙な高揚感に襲われる。くすぐったいような、ゾクゾクするような感覚。
じれったい指先が、首筋まで下りてきた。
「そんな顔されると、このまま押し倒しちゃうよ」
突然の言葉になにも反応できず固まっていると、彼がふっと口もとを緩めた。
「なぁんちゃって。今の口説き方はちょっと軽いよな、ごめん、ごめん」
……は? “なぁんちゃって”って、さっきの言葉はからかい交じりの冗談!?
一瞬いろいろと考えてしまった自分が馬鹿みたいじゃないか。そうだ、この人は適当なことばかり言って、わたしが照れたりするのを面白がっているんだ。
「……もう、お酒! もっと飲んでくださいね、いっぱい買ったのは藤麻さんですよ!」
動揺を誤魔化すために話を逸らしたわたしに、藤麻さんはなにか言いたげな表情をしていたが、自分が妙なことを考えたなんて絶対に気づかれたくないと思うわたしは、なんともないフリをして再び饒舌になった。
藤麻さんとの距離感はこのくらいが丁度いい。
そう思って、缶に残るお酒をグイッと飲み干した。
藤麻さんと一緒にいるとドキドキする。どうしてそういう気持ちになるのかわからないわけじゃないのに、今までずっと認めないように避けてきた。
「そうですね……わたしはまだ、新しい恋をはじめる勇気がないんです」
先ほどまでの勢いをなくして視線を落としたわたしの頭の上に、ポン、となにかが乗っかった。横を見ると、藤麻さんがわたしの頭を優しく撫でている。
「男の傷は男で癒せば? 俺、相手してあげるよ」
誘うような彼の声色に胸の鼓動がいっきに高鳴った。どういうつもりで言っているのだろう。わたしの傷を癒すために、藤麻さんが恋人みたいな存在になってくれるとでもいうの?
頭を撫でていた手がゆっくりと頬へ移動してきた。熱くなってきているそこを親指で軽くなぞるようにされて、妙な高揚感に襲われる。くすぐったいような、ゾクゾクするような感覚。
じれったい指先が、首筋まで下りてきた。
「そんな顔されると、このまま押し倒しちゃうよ」
突然の言葉になにも反応できず固まっていると、彼がふっと口もとを緩めた。
「なぁんちゃって。今の口説き方はちょっと軽いよな、ごめん、ごめん」
……は? “なぁんちゃって”って、さっきの言葉はからかい交じりの冗談!?
一瞬いろいろと考えてしまった自分が馬鹿みたいじゃないか。そうだ、この人は適当なことばかり言って、わたしが照れたりするのを面白がっているんだ。
「……もう、お酒! もっと飲んでくださいね、いっぱい買ったのは藤麻さんですよ!」
動揺を誤魔化すために話を逸らしたわたしに、藤麻さんはなにか言いたげな表情をしていたが、自分が妙なことを考えたなんて絶対に気づかれたくないと思うわたしは、なんともないフリをして再び饒舌になった。
藤麻さんとの距離感はこのくらいが丁度いい。
そう思って、缶に残るお酒をグイッと飲み干した。