クールな部長とときめき社内恋愛
明日も仕事だということを頭に入れながらも夜中まで喋っていた結果、次の日の朝、床で目が覚めて似たような光景をつい最近見たばかりだと、散らかったテーブルの上にぎょっとした。

これってやっぱり、そうだよね……とソファに視線を移したのだが、藤麻さんの姿はない。
なんだ、今日はちゃんと帰ったんだ。息をついて立ち上がったとき、お風呂場の方からシャワーの水音が聞こえた。

藤麻さん、帰ったのではなくてシャワーを浴びているの?
唖然としていたら水音が止んで、その数分後に藤麻さんがタオル一枚で下半身を隠し、脱衣場から出てきた。

濡れた髪に、ほどよく筋肉のついた体。前にもちらっと見たけれど、首筋や鎖骨がやたらと色っぽいと思っていたところでバッチリ彼と目が合って、わたしは固まってしまう。

「あー、友野さん起きた? この前置いていった着替え使おうと思うんだけど、どこにあるかわからなくてさ」

「は、端にある紙袋の中に入っています……!」

紙袋を指さしてそう言ったけど、藤麻さんにその格好で室内をウロウロされたらこっちが恥ずかしい!と思ったわたしは、慌てて着替えを掴んで彼のところへ持っていった。

「アイロンかけてくれたんだ、ありがとう。でさ、昨日着てたシャツなんだけど……」

「ま、また洗濯しておきますから、早く服を着てください!」

藤麻さんを直視できないままバタバタと彼を脱衣場に押し込んだわたしは、自分の顔が赤くなっていることに気づいて、ドアの前で大きく息を吐いた。
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