クールな部長とときめき社内恋愛
朝は藤麻さんに振り回されてしまい、美知にも誤解されてしまった。
頭を抱えたくなるのを我慢しながら午前の仕事を終えたわたしは、昼休憩に入る前に資料室へファイルを片付けに行こうと、通路を歩いていた。

すると、前の方から昨日休憩スペースでわたしの話をしていた総務部の男性たちが歩いてくる。

どうしよう、気まずい。
昨日、藤麻さんが自販機で飲み物を買うとき、彼らはわたしがいたことに気づいていた。

次の日に会ってしまうなんてついていないな、とうつむきながら彼らとすれ違おうとしたら、「あ、友野さん?」と沢本くんに声をかけられてしまった。

「なんか、昨日はごめんね。友野さんがいるって気づかなくて、俺らいろいろ言っちゃってさ」

笑みを浮かべて謝られても、軽々しく感じる。きっと通路で会ったからとりあえず謝っておこうと思っているんだ。

「別にもういいです」

憂さ晴らしはお酒を飲んでしたから、これ以上話をすることはない。
軽く頭を下げて歩き出そうとしたけど、近くにいた男の人が面白そうに尋ねてきた。

「君ってさ、藤麻さんとどういう関係なの? あの人、俺たちが君のこと話していたから相当怒っているような感じだったし。もしかして、付き合っているとか?」

まさかそれはないよな、と言いたげな彼らの雰囲気にわたしは拳をぎゅっと握った。
わたしなんかが藤麻さんと付き合えるわけないって、自分でもわかっている。

だからいまさら落ち込むことなんてないのに、胸に突き刺さったものが取れてくれない。
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