遠い昔からの物語
「……また『元気』を取り戻してきたよ」
くちびるを離した寬仁が、わたしの耳元でそっと囁いた。
そのとき、また警戒警報のサイレンが鳴り響いてきた。
ラジオの情報を得なければならないと思ったわたしは、起き上がろうとした。
ところが、寬仁はそうはさせなかった。
また、あの怖い顔になっていた。
「……駄目よ……空襲警報に変わるかもしれないから……」
わたしがそう云っても、寬仁は聞かなかった。
弾んだ息で、わたしの乳房をまさぐり、その突起した先端を舐めまわすのを、決してやめなかった。
わたしの身体の芯に、また火が放たれる。