遠い昔からの物語

蚊帳(かや)が小さいため、間宮中尉はわたしが思っていたよりもずっとすぐ(わき)で横になっていた。

暗闇の中で中尉と目が合う。

彼もまだ眠っていなかった。

また、声が聞こえてきた。

ようやく、わたしは気づいた。


……あがぁな声は……そがぁな声は……

わたしは、慌てて中尉から視線を外した。

そして、また寝返りを打って彼に背を向けようとした。


すると、中尉は強い力でわたしを引き寄せた。

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