遠い昔からの物語

あっという間に、わたしは間宮中尉の腕の中にいた。

困惑しきって混乱状態になったわたしは、必死にバタバタもがいて、なんとか逃れようとした。

でも、大きな体躯の中尉には太刀打ちできず、ただ身につけていた寝巻きの(すそ)が乱れ、襟元が緩んだだけだった。

中尉はわたしの上に覆いかぶさった。

耳元に彼の息がかかる。

「……大人しゅうしてくれんか。男に恥、かかせんでくれんなや」

甘い、ささやくような声だった。

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