*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
それは、私の家の門扉前に車を横付けした時のこと。

夢から冷めた気分でシートベルトを外し、名残惜しい想いを作り笑顔で隠してお礼を言うと、先輩は右隣から真っ直ぐに私を見つめてこう言ったのだった。


『……もう着いちゃったね』


『……』


同じく名残惜しさを感じさせる表情と声音に、鼓動がかつてないほど激しく揺れ動いたこと、今でもはっきり覚えている。

驚いた私は何も言えず、しばらくふたり見つめ合ったことも……。

でも相葉先輩のくしゃみで沈黙の時は終わりを告げた。

私は、もう一度丁寧にお礼を伝え後ろ髪引かれながら車を降りると、勇気を振り絞って運転席に回り窓が開くのをドキドキしながら待った。
< 13 / 581 >

この作品をシェア

pagetop