恋愛ノスタルジー
見上げる事しか出来ない私に圭吾さんは続けた。

「彩を……俺は騙した」

それって……嘘をつくほど私を嫌ってるって事?

いもしない恋人の存在をでっち上げ、私に対して防御壁を作っていたって事なの?

そこまでして、私に近付いて欲しくなかったと。

「ごめん、彩」

瞬きも出来ない程、傷付いた私がいた。

幾重にも涙が筋を作り、服や床を濡らす。

「彩」

圭吾さんの手が私を引き寄せようとしたのを全身で拒んだ。

「やめて」

「彩が好きだ」

好き……!?

何言ってるの?!そんなの信じられない。

「嘘!もう嘘は沢山です!」

涙声で叫ぶと、私は圭吾さんを睨んだ。

「よほど峯岸グループの残り物の私にがっかりしたんですね。恋人の存在をでっち上げてまで私を拒むなんて」

圭吾さんが我慢ならないと言ったように私を強引に抱き締めた。

「違う!そうじゃない!」

「じゃあ、父に何か言われたんですか?!仲良くしてやってくれとでも?!」 

「彩、そうじゃない。俺は……俺は本気でお前が好きなんだ」

最後のハイボールのせいかこの状況がそうさせるのか、グルグルと目眩がする。
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